令和4年度施政方針
令和4年度施政方針の全文を掲載しています。
はじめに
令和4年第1回東郷町議会定例会の開会に当たり、施政方針について申し上げ、町民の皆様並びに議員各位の深い御理解と町政への格段の御協力を賜りたいと存じます。
平成30年5月22日に町民の皆様から町長という重責を託されて、はや3年9か月が経過し、任期中の町議会定例会の開催は、今回が最後となります。
時の流れの早さを痛感するとともに、町民の皆様を始め、議員各位に御協力・御指導・御鞭撻を賜りましたことに、この場をお借りして心から感謝を申し上げたいと存じます。
任期を振り返りますと、令和2年の始めから、世界中で猛威を振るい、今なおその収束が見込まれない新型コロナウイルス感染症から町民の皆様の健康と生命を守るため、小中学校の臨時休業、公共施設の利用休止、各種イベントの縮小・中止等の対策に、多くの皆様の御理解をいただきながら、全力で取り組んできたところでございます。
そのような状況下におきましても、本町の発展と町民の皆様の福祉の向上のためにできうる各種事業が実施できたことにつきましては、大変多くの皆様に感染症対策に関し御協力をいただいたことによるものであり、今、このように町政運営を続けることができておりますことに、改めて御礼申し上げます。
本年度は、新型コロナワクチン接種を希望される町民の皆様に少しでも早く安心していただけるよう、ワクチン接種対策室を立ち上げ、予約体制の構築やいこまい館での集団接種体制の確立等、迅速な対応を心掛けながら進めました。
そして、医療従事者・高齢者を皮切りに、ワクチン接種が進んでおりますが、デルタ株・オミクロン株などの変異株の世界的な感染拡大の影響もあり、現在、18歳以上でワクチン接種を希望する全ての皆様に対し、3回目の追加接種に取り組んでおります。
今後も、国・県の状況の変化を踏まえつつ、本町の状況に応じて進めてまいります。
一方、コロナ禍における本町独自の支援策といたしまして、中学生までの子どもたちへの図書カードの配布、学習支援動画及びパパママ教室、離乳食教室の動画配信、高齢者及び妊産婦の皆様へのマスク配布、新型コロナウイルスに罹患した自宅療養者とその同居家族の方への生活支援事業、営業時間短縮要請に応じられた事業者に対する協力金の支給、TOGO暮らし・子育てエールチケットの配布等、暮らしに寄り添うことを第一に考えて事業を実施してまいりました。
今後も、町の主役である町民の皆様が安心して元気に活躍し続けていただけるよう環境を整え、御支援することが、町長としての責務であると心し、新型コロナウイルス感染症対策を含め、任期を全うするまで全身全霊を懸けて職務に当たる所存です。
町民の皆様におかれましては、御理解と御協力の程、宜しくお願い申し上げます。
さて、令和3年度は、将来都市像「人・まち・みどり ずっと暮らしたい とうごう」を掲げる「第6次東郷町総合計画」がスタートいたしました。
この将来都市像を実現するため、6つの基本目標に沿った各施策を進めることとし、町民の皆様と行政が協働して持続可能なまちづくりを進める新たな一歩を踏み出したところであります。
基本目標の中でも、令和3年度は、「健康づくり」、「教育・保育」、「公共交通」の3つの取組に特に力を注ぎました。
1つ目の「健康づくり」では、コロナ禍で外出の機会や活動量が減少し、体力の低下が懸念される高齢者のケアに重点を置きました。
具体的な事業としましては、高齢者の健診や医療・介護を受けていない健康不明層の方の健康状態を把握し、そのお一人お一人に見合った介護予防活動につなげるため、「高齢者実態把握栄養パトロール事業」を開始しました。
また、高齢者の健康づくり・介護予防を始め、地域のつながりを強化するため、各地区と協力いたしまして教室を立ち上げました。
教室終了後も参加者の意見を反映し、「TOGOまちかど運動教室」や「まちかど保健室」等を開設しました。
2つ目の「教育・保育」では、特色ある幼児教育・保育を一体的に提供する民間事業者による
認定こども園を和合地区に誘致する事業を進めてまいりました。
令和5年度の開園に向けて、通園する園児や保護者の皆様が安心して移行できるよう準備を進めてまいります。
また、町立保育園に英語を母国語とする外国人講師を配置し、子どもたちが遊びや給食の時間を通じて英語や異文化に触れる機会を設けました。
初めは戸惑った様子が見られた子どもたちも、最近では英語で講師とコミュニケーションを図る姿も見られるなど、多くの子どもたちに英語に慣れ親しんでもらうことができたと考えております。
さらに、小中学校では、国が進めるGIGAスクール構想に伴いタブレット端末を小中学生1人につき1台を整備し、また、ICTを活用した授業を教員がスムーズに実施できるよう、ICT支援員を各小中学校に配置し、小中学校のICT化を促進しました。
3つ目の「公共交通」では、町巡回バスを より便利に御利用いただける公共交通環境の整備を実施しました。
巡回バスでは、利用状況等から、バス路線を北コース、東コース及び南西コースの3コースに再編し、多くの来場者があるららぽーと愛知東郷の南側のバスターミナルを起点に、町民の皆様のみならず町外の方々にも利用していただき、交流人口の増加を図りました。
また、公共交通による大規模病院へのアクセスとして、バスターミナルと藤田医科大学病院を直接結ぶ「東郷・藤田医大バス」の運行を新たに開始しました。
さらに、高齢者等でバス停までの移動が困難な方に対する支援として、「デマンドタクシー」の実証実験を実施しました。
利用者のニーズを踏まえながら、実証実験で得られた課題を整理し、本運行につなげてまいります。
予算編成の基本的な考え方
令和4年度の予算編成の基本的な考え方は、町長選挙が本年4月に実施される予定であることから、当初予算につきましては、経常的な経費や義務的経費、継続事業に係る経費を中心とする、いわゆる「骨格予算」として編成いたしました。
なお、予算を編成する上では、その根幹となります、本年度からスタートいたしました第6次東郷町総合計画は、町民の皆様から御意見をいただき策定いたしました10年間のまちづくりの指針でありますので、それは、誰が舵を取ってもその本質は揺るがないものであると考えております。
骨格予算に含まない政策的な事業につきましては、選挙後において予算化していくものと考えておりますので、議員各位を始め、町民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
令和4年度当初予算案
それでは、令和4年度当初予算案の概要につきまして、御説明申し上げます。
令和4年度の一般会計予算案の規模は、132億7800万円となり、令和3年度と比較いたしまして、1億2834万円の増額でございます。
歳入では、町税が70億1840万円、歳入総額の52.8%であり、個人町民税や、固定資産税、都市計画税などの増額を見込んでおります。
地方交付税のうち普通交付税については、社会保障関係費の増加傾向等を踏まえ、7億8737万円を見込み、令和3年度と比較いたしまして1億2643万円の増額でございます。
実質的な地方交付税の一部とされております臨時財政対策債は、国の財源不足による折半ルールが解消されることから4億4500万円、令和3年度と比較いたしまして、2億200万円の減額を見込んでおります。
特別会計については、東郷町国民健康保険特別会計を始めとした、4つの特別会計の合計額が68億640万円、令和3年度と比較いたしまして1億2139万円、率にして1.8%の増額でございます。
企業会計につきましては、下水道事業会計が12億3904万円で、一般会計、特別会計、企業会計を合わせた予算総額は213億2344万円となり、令和3年度と比較いたしまして2億4410万円、率にして1.1%の増額でございます。
主要事業の説明
次に、令和4年度に実施する主要事業につきまして、第6次東郷町総合計画に掲げる6つの基本目標に沿って御説明申し上げます。
誰もが元気に暮らせるまち
基本目標の1つ目は、「誰もが元気に暮らせるまち」でございます。
全ての町民の皆様が元気に暮らすことができるよう、健康状態の把握及び健康づくりに重点を置いた施策を展開いたします。
高齢者を対象とした施策としましては、75歳以上の方の医療情報、健診情報、介護情報等を一括把握し、健康課題を分析する「高齢者の保健事業と介護予防の一体化事業」につきまして、令和3年度には、総合的な地域分析を行いました。
その結果から、口腔に問題を抱える高齢者が多いことを把握いたしましたので、令和4年度は、口腔機能の低下に着目した「オーラルフレイル予防教室」を開催し、リスクが高い方へのアプローチを行います。
その他、誰でも気軽に参加できる介護予防教室を、公民館の活用など各地区と協力いたしまして、今後も進めてまいります。
また、令和5年度までを計画期間としております「第8期東郷町高齢者福祉計画」につきまして、次期計画の策定に向け、高齢者の皆様を始め、介護サービス事業者やケアマネジャーなどの高齢者福祉に関わる方に広くアンケートを実施し、高齢者が地域でより一層活躍し、また、安心して暮らすことのできる環境を目指し、実情に応じた計画となるよう進めてまいります。
さらに、高齢者に限らず、誰もが健康に生活できるよう、骨粗しょう症予防教室の開催や、若者向けにメタボリックシンドローム改善のためのトレーニングジムを利用した保健指導の実施、双子など多胎妊娠の妊産婦の方の経済的・身体的な負担を軽減するための健診費用の補助など、幅広い福祉施策に取り組んでまいります。
子どもがのびのび育つまち
基本目標の2つ目は、「子どもがのびのび育つまち」です。
まちの宝であり、未来を担う子どもたちが健やかに育つためには、子どもたちはもちろん、保護者の皆様が安心して子どもたちを育てることができる環境づくりが重要であると考えております。
小・中学校につきましては、児童生徒が毎日通い、学び、友達や先生との交流等から様々な知識・経験を得る場所であると同時に、災害時には避難所として地域住民の皆様にも活用される側面を持ち合わせていることから、いつでも、より安全に安心して利活用できる環境を整備するため、老朽化した施設の長寿命化等の工事を実施いたします。
具体的には、諸輪小学校南校舎の雨漏り対策のための屋上防水設備の改修、各校体育館照明のLED化などの各種整備を進めてまいります。
保育につきましては、和合地区に(仮称)東郷こども園を開園するために、令和3年度に引き続き建設費用を補助するとともに、開園に伴い周辺道路の交通量が増加することが考えられることから、町道東蚊谷線等の道路改良を実施し、保育園に通う児童や保護者の皆様が安心して通えることはもちろん、近隣にお住まいの方の生活環境の向上を図ってまいります。
また、民間保育所への保育士等の就業を促進するため、町内の住宅を賃貸して保育士が使用する場合の家賃の一部を補助するとともに、消毒業務や清掃を行う職員を雇用するための費用の一部を
補助することにより、安心して保育ができる環境づくりを支援いたします。
さらに、給食につきましては、保護者の皆様の御負担を減らす取組として、令和2年度に新設しました給食費の定額制を継続することにより、児童生徒が安心して給食を食べられる環境を堅持し、
また、既に取り組んでおります、有機栽培の食材の利用回数を増やすこと及び児童生徒の食物アレルギー対象食材を除いた「にこにこ給食」を継続することで、目標として掲げております「日本一おいしい給食」の実現を より確実に推進いたします。
安全・安心で、自然と共生するまち
基本目標の3つ目は、「安全・安心で、自然と共生するまち」です。
災害対策、交通安全対策及び環境対策に重点を置いた事業を推進いたします。
災害対策としましては、災害発生時に活動・活躍する消防団の拠点となる詰所について、老朽化している建屋を順次建て替えます。
令和4年度は、和合分団詰所の建替工事及び祐福寺分団詰所の設計を実施いたします。
交通安全対策としましては、ドライブレコーダーの購入・設置に係る費用補助を継続し、町民の皆様の交通安全への意識の向上及び地域の防犯対策の強化を図るとともに、自転車乗車時の交通事故による被害を軽減させるための自転車乗車用のヘルメットの購入費用の補助につきましても継続して実施してまいります。
いずれも、町内事業者からの購入など一定条件下において、補助金の上限額を上げることで、地域振興を合わせて実施してまいります。
また、環境対策といたしましては、国の目指すカーボンニュートラルの考え方に呼応した施策として実施しております、各御家庭における太陽光パネル等の地球温暖化対策設備を設置するための費用に対する補助を拡大いたします。
現在、環境保全の基本的な考え方や施策の方向性を示す「第2次東郷町環境基本計画」の見直しを進めており、令和5年度からは、新たな環境基本計画に基づいた施策を展開することとなります。
環境基本計画につきましても当然、第6次東郷町総合計画に沿って策定されます。
将来都市像「人・まち・みどり ずっと暮らしたい とうごう」に込められた想いが、町民の皆様お一人お一人の心にしっかりと根付いていくことを願い、快適な住環境と豊かな自然が共生したまちづくりを進めてまいります。
快適に暮らせるまち
基本目標の4つ目は、「快適に暮らせるまち」です。
町民の皆様が快適に暮らす上で欠かすことができない、公共交通の充実及びインフラ整備に重点をおいた事業を進めてまいります。
公共交通につきましては、本町において重要な交通インフラを担う巡回バスにつきまして、3路線のいずれも「ららぽーと愛知東郷」を経由する新たな路線で運行しており、利用者の皆様の安全を確保するため、経年劣化した車両を計画的に更新いたします。
さらに、新たな公共交通としまして、令和2年度から実証実験を進めておりましたデマンド型交通につきましては、デマンドタクシーとして令和4年度から本運行を開始いたします。
このデマンドタクシーは、民間タクシー会社の空き時間を利用した仕組みであり、御自宅や公共施設、病院、薬局、スーパーなどを乗降場所として御利用いただくことができます。
移動の利便性向上、公共交通の強化、事業者の運営面の向上等の利点を兼ね備えた仕組みでありますので、是非とも多くの皆様に知っていただき、御利用いただきたいと考えております。
一方、インフラ整備では、道路整備としまして、開発が進んでおりますセントラル開発地域の中を通る桝池・東郷中央線の歩道整備を継続して進め、交通量の多い道路においても防護柵を設置することにより歩行者の皆様の安全を確保いたします。
また、下水道関連としまして、清水地区にあります中継ポンプ場の耐震性能を向上させるための工事を実施いたします。
産業と交流が盛んなまち
基本目標の5つ目は、「産業と交流が盛んなまち」です。
本町の中央部において進められておりますセントラル開発では、令和2年9月の「ららぽーと愛知東郷」のオープンをきっかけに、町外から多くの人が東郷町に訪れていただいております。
これまでにない交流人口の増加を契機として、「ららぽーと愛知東郷」内にありますコミュニティスペース「LivR TOGO(リーブル トウゴウ)まちの窓口」を活用し、東郷町の魅力の発信を強化してまいります。
また、本町には、まだまだ全国的に知られていない素晴らしい製品・地場産品があると確信しておりますので、本町が誇る逸品として掘り起こし、ふるさと納税の返礼品などの仕組みを活用するなど、
町内企業・生産者の皆様と協働し、まちを盛り上げていきたいと考えております。
東郷町文化産業まつりについて、令和2年度及び3年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により開催することができませんでしたが、令和4年度は感染症対策に配慮し、参加者及び来場者の方々が安全に、安心して参加していただける、思い出となるようなイベントにしたいと考えております。
みんなでつくるまち
基本目標の6つ目は、「みんなでつくるまち」です。
まちづくりの主役は町民の皆様であり、そのお一人お一人の持てる力を最大限に発揮していただけるよう基盤を整えることが重要であると考えております。
その実現のために「第2次男女共同参画プラン」を策定し、計画に基づき事業を展開しているところであり、令和4年度は、第2次男女共同参画プランの計画期間の中間年を迎えます。
事業の進捗状況等を踏まえながら見直しを実施し、家庭・地域・職場等、あらゆる場所・場面において性別によらないジェンダー平等意識の醸成、セクシャルマイノリティの方への理解促進など、
より社会情勢に合った内容に昇華いたします。
また、時代や生活環境等の変化とともに多様化・高度化する町民ニーズに的確に対応するため、
デジタル行政の推進に重点を置いた施策を実施いたします。
新型コロナウイルス感染症の影響も相まって、直接役場に出向かずとも各種申請ができるような環境整備が急務であるため、国が主導するマイナンバーカードを用いた行政手続きのオンライン化に対応するために必要なシステムを構築いたします。
今後、行政手続きのオンライン化の進捗に伴い、マイナンバーカードの有用性が高まり、交付申請が増加することが考えられますので、窓口をより一層充実し、対応してまいります。
マイナンバーカードをお持ちでない方は、ぜひ、御申請くださいますようお願いいたします。
さらに、オンライン化の環境基盤として、誰でも利用ができる公衆Wi-Fi環境を町内全域の公園や公共施設等に整備しました。平常時はもちろん、災害時等にも、情報伝達・取得が困難となる場合も想定し、今後も設置施設を増やすとともに、多くの皆様に御利用いただけるよう、スマートフォンの利用講座を始めとしたソフト面の支援も充実してまいります。
むすび
以上、令和4年度の施策及び当初予算につきまして、概要を申し上げました。
さて、先にも申し上げましたが、令和4年度当初予算は骨格予算編成であるため、政策的な事業は、町長選挙後に補正予算に計上し議案として上程する運びとなります。
本町の長い歴史の中で骨格予算編成は初めてのこととなりますが、本町の特徴・特色や、ふるさとを想う町民の皆様の御心は、途切れることなく脈々と受け継がれ、その想いが新たな事業として展開されていくべきであると考えております。
今後も職員一丸となり、町民の皆様の幸せを守り育むことこそ、町の責務であると強く自覚し、そのための努力を惜しまず、日々研鑽を積み、誠心誠意全力を持って町政に取り組む所存でございます。
また、新型コロナウイルス感染症は、未だ収束の見通しがたっていない状況でございます。
そのような中で、不安や焦りを抱えておられる町民の皆様も多いことと思いますが、ワクチン接種も進み、少しずつ、着実に光がある方向へ向かっていると確信しております。
さらに、その先の将来を見据え、一歩一歩確実に進めるよう堅実な足場を着実に作り上げていくことこそが、持続可能な町政運営につながり、町民の皆様がより一層の幸せを感じられるまちとなると考えております。
議員各位並びに町民の皆様の、より一層の御理解と御支援を賜りますよう、心からお願い申し上げ、私の施政方針とさせていただきます。
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更新日:2022年06月15日