所信表明(令和6年7月1日)
この度、多くの町民の皆さまからのご期待をいただき、東郷町長に就任いたしました石橋直季です。町長に就任して初めての定例会となりますので、これから町政を運営するに当たり、所信を述べさせていただきます。
「いつまでも住み続けたいまち」
これが、私が本町のまちづくりにおいて最も大切にしていきたいことです。
本町は、名古屋市と豊田市の中間に位置するベッドタウンとして、近年は子育てしやすいまちとして人口が増えてきました。本町の最大の魅力は、この地で長く育まれてきた「人のあたたかさ」にあると思います。道を歩けば、世代を超えて挨拶を交わす文化があり、人の気持ちを慮るあたたかい心を持った住民であふれています。都市近郊にあってその利便を享受しながらも、あふれる緑の景色がもたらす穏やかさを根本に持った「優しいまち」です。
このような風土の中でも、全国的な流れの中、少子高齢化、公共施設・インフラの老朽化などから生活に支障が出てきており、課題は増えてきています。こうした課題を丁寧に解決していくことで、今住んでいる皆さまが「いつまでも住み続けたいまち」と感じることができ、子どもの世代、孫の世代もきっと東郷の地に住んでいるのだろう、と「未来が想像できるまち」としていきたいと思います。
そのための端緒として、2つの基本方針と6つの個別方針を柱にまちづくりを推進してまいります。
基本方針の1つ目は、「町民みんなでまちづくり」です。
まちづくりはいつも、町民の皆さまの声から始まるものであり、もっと多くの町民の皆さまの声が聞ける体制づくりが必要です。各地区の課題は、そこに住む地域の方が1番理解しています。私自身も各地区へ出向かせていただき、その地域の課題を直接聞いて、課題解決をともに考え、地域の皆さまの生活をより良くし、より暮らしやすいまちにしていきたいと考えています。地道に丁寧に、より細やかなまちづくりを進めるため、各地域での意見交換会を開催させていただきます。
また、仕事や子育てなどで忙しく、まちに対して意見や要望をする時間のない町民の皆さまの声を拾い上げる仕組みを構築したいと考えております。例えば、町公式LINEを活用するなど、行政へ気軽に意見を投げかけられる仕組みを考え、世代を問わずより多くの町民の皆さまの声が行政に届く環境をつくってまいります。
基本方針の2つ目は、「みんなが安心できる役場づくり」です。
昨年11月から、ハラスメントの問題が顕在化しました。およそ6年にわたり、多くの役場職員の皆さんが心を痛め、本来の力を発揮できない状態が続いてしまいました。まずは、この環境を立て直し、職員個々が持つ力を存分に発揮できる環境を構築してまいります。
可能な限り職員の皆さんの意見を聞き取りながら、外部機関へ直接相談できる体制づくり、被害を受けた際のケア体制、町長を始めとした研修の強化などスピード感をもって具体化してまいります。同時に、議会の皆さまの主導のもと早期にハラスメント条例を施行したいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。
また、ハラスメント対策だけでなく、職員全員が胸を張って仕事ができる環境をつくるため、適切な人事配置、人材確保を進めてまいります。役場職員が町民の皆さまの声を真正面から受け止め、町民の皆さまの声がもっと反映される町政となるよう努めてまいります。
この2つの基本方針のもと、町民の皆さまの声からまちがよくなっていく、そのような体験を1人でも多くの方に実感していただきたいと考えています。自分の声やみんなの声でまちがよくなっていく。町民と行政との信頼関係が構築され、
「ああ、私の声はちゃんと届く」
そのようなまちであり続ければ、今、本町に住んでいる皆さまが「いつまでも住み続けたい」と思えるようになり、きっと子どもの世代や孫の世代もこのまちに住んでいるだろうと「未来が想像できるまち」になると思います。
その具体的な個別の方針について、6つの視点から述べさせていただきます。
1点目は「日々のくらしに優しいまち」です。
巡回バスを始めとした地域公共交通について、各地区での現状を聞き取り、把握することから始め、抜本的に見直しに取り組んでまいります。「バス停がなくなってしまった」「バスの便数が減ってしまった」ことから、これまでの生活が営めなくなってしまったという切実な声だけでなく、「免許を返納した後の生活がイメージできない」という声も具体的に拾いながら、誰一人取り残さない地域公共交通を目指してまいります。
住民の皆さまが日常的に利用する公共施設等について、現在、東郷町公共施設等総合管理計画により対応を進めておりますが、役場庁舎、町民会館、総合体育館、いこまい館、小中学校、保育園、児童館、公園など、それぞれが違った部署での対応となっています。長期の視点に立って、これら公共施設等を機能集約・多面的な利活用も視野に入れながら、総合的・効率的なストックマネジメントに対応する部署を設けていきたいと考えております。
また、町民の皆さまの日常生活に欠かすことができない道路や通学路について、舗装に亀裂や欠損があったり、草刈りが追いつかず道幅が狭くなり危険な状態となっているなど、多くの地域要望や住民の皆さまからの声をいただいています。これらの道路修繕や草刈りなど、スピード感をもって対応できるよう、進めてまいりたいと考えております。
2点目は「安心して産み育てられるまち」です。
今年、新たに町内に産科が開院されました。「安心して産み育てられるまち」として一歩進むため、まずは病院等と連携してニーズを把握しながら、安心して子どもを産み育てられる環境の整備について検討してまいります。
国として夫婦共働きが推奨され、ますます良質な養育環境が求められる中、昨年本町では、不適切保育の問題が発生してしまいました。その反省を最大限に生かし、指導保育士等の巡回を始め行政として保育園・幼稚園・こども園の安全安心な環境を確保する取り組みを継続して進めてまいります。
また、保育園での「おむつ回収事業」など、実際に保護者の方々からいただく切実な声を施策に反映させ、できることから始めてまいります。
そして、子どもたちの居場所となる学校などの環境整備を進めてまいります。全小中学校のトイレ洋式化を始め、体育館へのエアコン整備を進めてまいります。また、学校と一体となって次代を担う子どもたちが生きる力を育むことができるよう教育の充実を図ってまいります。
3点目は「地元の力で活性化するまち」です。
本町の「緑」は、人々が手を入れてくれるからこそ享受できる「自然」です。地産地消を推進し、地元で採れた旬の野菜や有機食材などを給食でこれまで以上に提供するなど、農業者の販路拡大を支援したいと考えております。また、安心して営農できるよう、地元農業者の皆さまの声を聞きながら地域農業発展に向けた支援を幅広く検討し、本町の緑あふれる風土を確保していきたいと思います。
本年1月に発生いたしました能登半島地震において、地元の商工事業者が初動から地域への被災支援で大変に重要な役割を果たしています。本町においても、被災時だけでなく賑わいや魅力あるまちづくりにおいて、東郷町商工会を始め地元商工業者の皆さまの存在は非常に大きな力となります。こうした観点から、地元商工業者の積極活用や今求められる支援策を、事業者の皆さまの声をもとに検討し、地元商工業の活性化と成長を後押ししてまいります。
4点目として「笑顔がひろがるまち」です。
東郷町には多くの伝統文化が残っており、その1つに東郷音頭があります。振り付けが完成した1976年からこれまで、町民納涼まつりなどで踊り継がれてきました。節目となる2026年の東郷音頭50周年に向けて東郷音頭を踊る機会をさらに創出するなど、本町伝統文化の普及・発展に努めてまいります。
スポーツ振興においては「水と緑とボートのまち」として改めて、町民スポーツと位置付けるボート振興に努めてまいります。本年度に開催する町民レガッタは、30回目の記念大会となります。ボートの魅力は、実際に艇に乗る体験によって感じられるため、関係団体との連携を強化しながら、より多くの方にボートを体験していただけるよう取り組んでまいります。
こうした東郷町の文化、スポーツ、町主催のイベントは、町の魅力を発信する機会であり、町民の皆さまが自分のまちを知り、交流できる絶好の機会と捉え、これからも大切にしてまいります。
そして、これら周年行事などを契機に、町内の各種スポーツ活動・文化活動を通して交流が活発化するよう、活動団体への支援も検討したいと考えております。
5点目として「地域がもっとつながるまち」です。
本町の各地区では、自治会を始め老人クラブ、子ども会など各種団体によって様々な活動が行われています。各地区で自主的に行われる活動は、まちづくりの根幹となる「地域のつながり」を生み出す原動力となります。これら活動への支援について、各地区の状況を丁寧に聞き取りながら、柔軟に対応できる補助のあり方を検討してまいります。
また、高齢の方の健康・元気につながる交流活動及び地域防災・地域防犯につながる活動への支援は、特に強化したいと考えております。地域の中で支え合いながら、年齢や障がいの有無に関係なく、全ての人が住み慣れた地域で安心して暮らせるまちとなるよう、引き続き、「地域共生社会の実現」を目指してまいります。
そして、いつ起きてもおかしくない大規模自然災害に備え、町民の皆さまの大切な命を守るため、より一層の防災対策を進めてまいります。地域においては、共助の取組として自主防災組織の活性化を図ることなどにより、地域のつながりが広がり、地域の力が強まるよう取り組んでまいります。
6点目として「未来を想像できるまち」です。
本町の位置する尾張東部地域は、人口の増加傾向が続いてきましたが、全国的な流れとしての人口減少を踏まえた長期の視点をもった行政運営が必要です。近隣市との連携をさらに密にしていくことにより、あらゆる分野において、施策を考える際には情報共有のみならず連携を模索できないか、地図を広げた発想を持つようにしてまいります。上水・消防・衛生など、既存の連携をさらに強化していくだけでなく、公共交通のあり方、道路行政、公共施設の利活用、調達の際の共同購入など、多くの分野で広域的な考えを広げていきます。
また、時代の進捗とあわせてICT活用、DXを推し進めてまいります。住民の皆さまが利用される機会の多い証明書等の交付や申請手続きにおける利便性向上、窓口業務の効率化を目指してまいります。行政サービスのあらゆる分野において、デジタル技術活用の視点をもって業務の効率化を図り、役場内で「人のあたたかさ」が感じられる相談体制を充実させることによって、受益者を拡大し、誰一人取り残さない施策の実現に努めてまいります。
そして、町長自らが国や県への陳情、民間からの情報収集など積極的に行動し、骨太な東郷町にしてまいりたいと考えております。都市計画道路などのインフラ整備を始めとして、未来を見据えて近隣市とともに住み続けられる地域とするため、まちの骨格を整えてまいります。
これら施策について、まずは町民の皆さまの「今」の生活に焦点を合わせて事業の優先度を検討し、関係する皆さまへの聞き取りを重ねて、構築・提案してまいります。また、行政サービスの最適化及び適切な財政運営の観点から既存事業の見直しも並行して行ってまいります。
以上が、私の町長としての所信表明となります。
町としてより広く町民の皆さまの声が届く環境をつくりつつ、町民の代表である議会の皆さまからいただくご意見を存分に参考とさせていただきながら、施策検討、予算編成を行ってまいります。二元代表制の緊張感を乗り越えた施策こそ、まちづくりの濃密な活力となると考えております。議会の皆さまへは、ICT活用を念頭に、良質な議論の土台となる情報共有を推進してまいりたいと思います。
東郷のよりよい「今」と「未来」をつくることに全身全霊取り組んでまいります。
町民の皆さま、議会の皆さまとともに、東郷の未来を明るく開いていきたいという強い意志を持って町政運営を進めてまいりますので、これから、よろしくお願いいたします。
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更新日:2024年07月10日